浅田先生はそう言ったあと、亜矢子とともに姿を消した。




私たちはそのあり得ない事実に驚き、互いに顔を見合わせた。




「死神ヤローが消えたぜ」




「人間が消えていなくなるなんて……」




「考えられないよ。

どうして、こんなことが……」




「『ゾンビ街』は夢の世界よ。

だから、あり得ないことも起こるのかもしれないよ」




私がそう言ったとき、奇跡の部落のいたるところで浅田先生の声が響いた。




「この奇跡の部落に、『ゾンビ街』のプレイヤーが現れた。

ゾンビたちよ、ヤツらを襲え!

ヤツらにウイルスを撒き散らせ!」




「嫌ですよ……。

何なんですか?

こんなこと言ったら、私たちは、襲われてしまいます……」




「午後六時までにヤツらを全滅させろ!

それができなかったときは、誰にも知性の薬はやらない。

知性を失いたくなかったら、ヤツらを人間のまま奇跡の部落から出すな!」




私は浅田先生のその言葉を聞いて、ドキドキしていた。




この瞬間から、私たちは知性のあるゾンビたちのターゲットになっていた。