私たちは土煙が舞う道を人を探し求めて歩いた。




すると、一軒の民家から叫び声が聞こえて、私たちはドキリとして立ち止まった。




「オレは死にたくない!

だけど毎日、毎日、工場で強制労働だ!

こんなのって、少しも幸せじゃないよ」




「康彦、仕方がないのよ。

康彦に使われているお薬は、とっても高価なの。

それに康彦が働ける場所は、あの工場しかないの。

だから、我慢して。

お薬を切らしたら、康彦は康彦でいられなくなるのよ」




「お母さん、オレって、呪われた存在だね。

もうオレは普通じゃないんだ。

そんなことくらい、オレが一番良くわかってるよ!」




私たちは、話し声が聞こえてくる家の前で、二人の話を聞いていた。




この人たちが話しているお薬って、何だろう?




私はそんなことを思いながら、その家の窓から、家の中をのぞき込んだ。