早乙女凛子とホラーゲーム

「もしもチャットに、ドリーム社のロゴ入りの機械の書き込みがなかったなら……」




麻美がうつむき、沈んだ声で話し出した。




「私たちは、ミッションをクリアできずに、
警官隊に連行されるのよね。

そしたら、私たちはゾンビの餌になる。

そんなの、嫌だよ。

私はゾンビになんてなりたくない」




麻美はそう言って、涙をポロポロと流し始めた。




麻美が泣き出したのを見て、私たちに暗いムードが漂う。




そんなとき、海斗が麻美の肩をポンと叩いて、麻美に言った。




「麻美、まだあきらめんなよ。

オレたちは、覚悟を決めて、チャットに書き込みがあるのを待とうぜ。

もう自力でミッションをクリアできる見込みはないんだ。

あとは信じるしかないぜ。

ミッションクリアの鍵を握る書き込みがあることをさ」




私は、麻美に優しい声をかける海斗を見て、海斗はきっと麻美のことを好きなんだと思った。




海斗はサッカー部のレギュラーで、女子から人気があるけど、海斗がいつも話しかける女の子は、麻美だった。




海斗と麻美なら、きっとお似合いのカップルだなって、私は思う。




でも、この『ゾンビ街』の世界では、そんな甘い関係ではいられなかった。




私たちは、まずこの世界から抜け出さなくてはならないから。




生きるか死ぬかの世界で、新しい恋が始まるとは思えないから。