〈 ゾンビたちって、人間だったときは、私たちみたいに、笑ったりもしたのかなぁ?

ゾンビたちって、自分の醜い存在に絶望はないのかなぁ?

あんなに醜い姿になって、人間の肉を食う欲望のためだけに、ゾンビたちが生きているなら、
それは残酷な悲劇よ。

ゾンビになるくらいなら、いさぎよく私は死にたい…… 〉




私がそんなことを思いながら、このビルの部屋の一室を開けたとき、そこに誰かがいて、私はドキリとして息をのんだ。




部屋の中をフラフラと歩いているのは、男子高校生だった。




そして、その男子高校生の足元には、脳を破壊されて動かなくなった二体のゾンビが転がっていた。




「あなた、誰?」




私がそう男子高校生に声をかけると、その男子高校生は、まるで何かに絶望しているかのような表情で、私を見ていた。




「オレかい?

オレは野崎竜也。

『ゾンビ街』のプレイヤーだ」




そう言った竜也の声は、暗く沈んでいた。




まるで、魂をなくしたみたいに……。