早乙女凛子とホラーゲーム

海斗の渾身の一撃が、ゾンビの頭に直撃し、若い女のゾンビは倒れた。




でも、他の二体のゾンビたちは、もうすでに麻美の腕をつかみ、麻美に襲いかかっていた。




「食わせろ!」




麻美の腕をつかんで、うめき声を上げた初老の男のゾンビ。




その初老の男のゾンビは、麻美という獲物を濁った瞳で見つめ、よだれを垂れ流し、麻美の首すじめがけて襲いかかった。




「いやぁぁぁ!」




麻美の悲鳴が部屋の中に響き渡る。




麻美が何の抵抗もできないまま、恐怖で目を閉じたとき、
海斗の拳が、初老の男のゾンビの顔面を殴り、そのゾンビは床に倒れた。




〈 海斗は強い…… 〉




私は必死になって麻美を守ろうとしている海斗を見ていた。




〈 海斗は元々、ケンカ好きだけど、命をかけて相手を殴るのは初めてのはずよ。

それなのに海斗は、迷いなくゾンビの顔面を殴った……。

そんなことって、普通はできないよ。

スゴイよ海斗。

私、海斗を尊敬するよ 〉




若い男のゾンビが、海斗の腕を強い力でつかんできて、海斗にキバを向けた。




「食わせろ!」




その男のゾンビは海斗にしがみつき、今にも海斗に噛みつこうとしていた。




〈 ヤバイ……。 海斗が噛まれる!

嫌だよ、そんなの……。

海斗がウイルスをもらってしまう! 〉




私は海斗が襲われるその瞬間をじっと見ていた。




私たちがいる部屋の中は、まるで時間が止まってしまったかのように、スローモーションに見えていた。




若い男のゾンビが、海斗の首すじに歯を立てようと顔を近づける。




その瞬間、私の心臓は飛び跳ね、息が止まった。




〈 お願い、やめて!

海斗を助けて! 〉




私がそう心の中で叫んだとき、誰かの拳が、若い男のゾンビの顔にめり込んでいた。