早乙女凛子とホラーゲーム

「凛子、走れ!

早く!」




蒼太のその必死な声に、私は震える足で走り始めた。




私はゾンビたちの残骸を乗り越え、長い廊下を懸命に走っていた。




私は私の手を強く握る蒼太に、初めて男らしさを感じていた。




私は今まで、蒼太を優しいだけの男だと思っていたから。




蒼太が命をかけて、女性を守るなんて、考えたこともなかったから。




私が知ってる蒼太は、いつも図書室で、静かに本を読んでいた。




蒼太、本を読んでて、そんなに楽しいの?




私は図書室の隅で蒼太を見つめ、心の中で蒼太に話しかけていた。




私はもっとたくさん、蒼太のことを知りたい。




蒼太がどんな本を好きで、どうして本ばかり読んでいるのかを。




ねぇ、蒼太。

もしも私たちが、リアルな世界に戻れたら、とりとめもない話をたくさんしようね。




私はもっとたくさん、蒼太のことを知りたいから。