「それじゃ、このビルの最上階に行くぜ」




海斗はそう言って、ビルの35階のボタンを押した。




そして上昇し出したエレベーターの中で、麻美がポツリとつぶやいた。




「最上階に向かうエレベーターの中って、何か不安になるね」




麻美のその言葉で、エレベーターの中が、暗い雰囲気に包まれた。




不安はみんなに伝染しやすい。




一人が不安になると、そこにいるみんなが不安になる。




私はそんな暗い雰囲気を吹き飛ばしたくて、明るい声でみんなに言った。




「不安なことなんて、何もないよ。

麻美には、仲間がいるんだよ。

麻美が危険な目にあったときは、みんなが麻美のところに駆けつけるから。

だから安心して。

麻美には、私たちがついているから」