「凛子、リアルな世界に帰ったら……」




蒼太は今にも消えてしまいそうな頼りない姿で、私に話しかけてきた。




「みんなの分まで、幸せに生きて……。

そしてときどき、オレたちを思い出して……」




「いなくなったら、嫌だよ!

一緒にリアルな世界に帰るって、約束したのに……」




「さよなら、凛子。

またいつか夢の中で会おう。

今度はこんな最悪の夢の中じゃなくて、最高の夢の中で……」




蒼太がそう言ったあとに、蒼太の姿は私の前から姿を消した。




私はそのことに、慌てふためいて、声を張り上げ、蒼太を呼んだ。




「蒼太、嫌だよ。

いなくならないで!

私、一人になっちゃうよ……。

蒼太がいなくちゃ……、私は……」




私の声がフロア内に響き渡ったとき、『ゾンビ街』は姿を消した。




それと同時に、私の意識が遠のいていく。




私、これからどうなるんだろう?




蒼太、お願い。




私を一人にしないで。




私はずっとずっと、蒼太と一緒にいたいんだ……。