早乙女凛子とホラーゲーム

パチンという大きな音がしたあとに、蒼太は叩かれた左頬を反射的に押さえ、驚いた顔で私を見ていた。




「蒼太の意気地なし!」




私は大きな声で、蒼太を叫んだ。




「蒼太のバカ!

蒼太の弱虫!

蒼太の負け犬!

何なのよ、戦う前から悩んで、あきらめて……。

これだから嫌なのよ。

文芸部の草食系は!」




「凛子、いくら何でも言い過ぎだろ?」




「私は本当のことを言ってるだけよ!

蒼太、根性見せてよ。

勇気を出してよ。

この世界では、悩んでも誰も助けてはくれないの。

だから蒼太、一緒に戦おう。

勇気を出して、私たちは戦うの!」




蒼太を怒鳴った私の心は痛かった。




私は、いつも優しい蒼太が好き。




蒼太には、いつも優しい蒼太でいて欲しい。




だけど、この世界では、優しいだけではダメなの。




蒼太、強くなって。

そして私を守って。




私は蒼太のことだけをずっと見てきたから……。