早乙女凛子とホラーゲーム

『センタービル92階にゾンビが大量発生しました。

プレイヤーは逃げて下さい。

センタービル92階にゾンビが大量発生しました。

プレイヤーは逃げて下さい』




もう少しで、最上階にたどり着けるそのときに、ビル内にまた無機質な声の放送が流れた。




私はその放送にドキリとして、階段の下に目を向けた。




すると、また大量のゾンビたちが私を襲おうと、ものすごい勢いで階段を上ってきていた。




〈 あと少し……。

あと少しよ。

ゴールはもう目の前だから…… 〉




息が切れ、足の筋肉がパンパンになっている私は、自分にそう言い聞かせて走り続けた。




〈 辛くても、あと少し……。

私の『ゾンビ街』はようやく終わる 〉




元々、私たちはホラードリームに軽い気持ちで参加していた。




五万円のバイト代をもらいながら、ドリーム社の新作を楽しめる。




怖い夢なんて、お化け屋敷と変わらない。




そんなのは、ほんの一瞬、怖いだけだ。




だから大丈夫。




みんなでホラードリームに参加しようって……。




でも、それがすべての間違いの元だった。




『ゾンビ街』は、お化け屋敷なんかと全然、違う。




『ゾンビ街』にあったのは、本当に目をそむけたくなる最低の悪夢だ。




私はこの世界に来てしまったことを心の底から後悔していた。