「え、なにが?」


あたしはキョトンとして愛を見る。


「大雅君の事だよ、選ばれると思ってたのにねぇ?」


「ちょっと、愛!」


紀子が慌てて愛を止める。


愛は「え、まさかまだ知らなかったの?」と、焦っている。


「え? ちょっと待って、今のどういう意味?」


混乱しながらあたしはそう聞いた。


「あのね心……噂によると選ばれた1年生は琉斗の方なんだって」


紀子が言いにくそうにそう言った。


選ばれたのは琉斗の方……?


紀子の言葉を何度も頭の中で繰り返す。


「な……んで……?」


「ん~……元々の実力とかなのかな? 大雅もいい所まで行ってたらしいんだけど、やっぱり琉斗の方がっていう話になったみたいで……」


説明を続ける紀子の声がどこか遠くに感じられた。


なんで?


なんで琉斗が選ばれるの?


琉斗が選ばれるなんてそんなのおかしいじゃん。


だって、あたしが昨日琉斗とサッカーの関係を切り取ったのに……!!