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この日、あたしは大雅の練習を見ることなく真っ直ぐ家に帰ってきていた。


お母さんが一階から呼んでも「勉強中だから!」と適当に返事をしてベッドに座り、スマホを見つめていた。


アンインストールしてしまおうと思っていたあのアプリを起動させ、ジッと画面を見つめる。


《切リ取リマスカ?》


その文字が出て来た瞬間、寒気を感じて体が震えた。


背中から冷や汗が流れて行くのを感じる。


このアプリは危険だ。


使わない方がいい。


そんなのもうわかっている事だった。


だけどあたしは今こうしてアプリを起動し、使おうとしている。


《写真ヲUPスル》


右手の人差し指がその文字に触れた。


画面は写真を選択する画面に映る。


沢山の大雅の写真がずらりと出て来る。


あたしはその中で、1枚の写真を選んだ。


心臓がドクドクと大きく跳ねていて、呼吸が乱れていくのを感じる。


今から自分がしようとしている事がどんな結果を生むのか、恐怖で一杯だった。


だけど……レギュラーになるのは大雅の方がふさわしい。


その気持ちの方がずっと強かった。