大雅と一緒に教室へ戻ると、紀子と愛に冷やかされてしまった。


恋人同士の甘い時間だったと関違いされているみたいだ。


あたしは2人の冷やかしに曖昧に答えながら、目の端で大雅の様子を伺った。


大雅はいつも通り友達と楽しそうにおしゃべりを始めている。


大雅は本気であんなことを思っているんだろうか?


毎日誰よりも汗だくになって、長い時間練習しているのに、レギュラーに選ばれなくてもいいだなんて……。


やっぱり、あたしには理解できない事だった。


「ねぇ心見て! 愛って猫かってるんだって!」


紀子にそう言われて視線を戻すと、愛が飼い猫の写真をスマホの画面に表示させていた。


「なに言ってるの紀子、何度も見に行ったじゃん」


見覚えのある白い猫の写真を見てあたしはそう言った。


紀子はこの猫の事が大好きで、少し前までは週に一回は愛の家に行っていたくらいだ。


あれ?


そういえばどうして愛の家に行かなくなったんだっけ?


ふとそう思ったとき、紀子と愛が不思議そうな顔であたしを見ていることに気が付いた。


「な、なによ2人とも?」


「あたし、愛の家に行った事なんてないよ?」


紀子が言う。


愛も頷き「うん。来たことないよね」と言った。


あ……。