それにそんな事実が一般に知れ渡ったら、メンツどころの騒ぎじゃない。
「その点、この小娘ならば『天内一族最後の末裔』という、大義名分が立つ。蛟よ、そうであろう?」
「はい。混乱は最小限に抑えられるかと存じます」
「ふうむ。筋は通っておるな」
絹糸の納得声を聞きながら、あたしの胸は静かに高鳴り始めていた。
地味男の話が、神の一族にとって大変な問題だってことは、おバカな頭でもよくわかる。
常世島の人たちのためにも、すごく深刻に考えなきゃならない大問題なんだけど……。
でも、でもさ……
これってあたしと門川君に、いい風が吹いてるんじゃない!?
これまであたしと門川君の仲が認めてもらえなかった、その最大の原因が、最大の武器になるってことじゃん?
『災い転じてナントカカントカ』って、このことじゃん! 意味よく覚えてないけど!
やっぱ人生って何があっても、ヘコたれずにチャンスを狙い続けるべきなんだねー!
『野球はツーアウトから』って言うもんねぇ!
「と、当主様、は、発言をお許しください」
背中に回した手でコッソリと勝利の握り拳を握っていたら、上層部の誰かが声を上げた。
門川君が、前列に座っているその人に向かって声をかける。
「許す」
「蛟様のおっしゃることは、道理でございます。ですが、やはりそこにも問題がございます」
「問題とは?」
「どこにも確証がございませぬ」
門川君が口元に当てていた手を下ろし、小さくうなづいた。
「その点、この小娘ならば『天内一族最後の末裔』という、大義名分が立つ。蛟よ、そうであろう?」
「はい。混乱は最小限に抑えられるかと存じます」
「ふうむ。筋は通っておるな」
絹糸の納得声を聞きながら、あたしの胸は静かに高鳴り始めていた。
地味男の話が、神の一族にとって大変な問題だってことは、おバカな頭でもよくわかる。
常世島の人たちのためにも、すごく深刻に考えなきゃならない大問題なんだけど……。
でも、でもさ……
これってあたしと門川君に、いい風が吹いてるんじゃない!?
これまであたしと門川君の仲が認めてもらえなかった、その最大の原因が、最大の武器になるってことじゃん?
『災い転じてナントカカントカ』って、このことじゃん! 意味よく覚えてないけど!
やっぱ人生って何があっても、ヘコたれずにチャンスを狙い続けるべきなんだねー!
『野球はツーアウトから』って言うもんねぇ!
「と、当主様、は、発言をお許しください」
背中に回した手でコッソリと勝利の握り拳を握っていたら、上層部の誰かが声を上げた。
門川君が、前列に座っているその人に向かって声をかける。
「許す」
「蛟様のおっしゃることは、道理でございます。ですが、やはりそこにも問題がございます」
「問題とは?」
「どこにも確証がございませぬ」
門川君が口元に当てていた手を下ろし、小さくうなづいた。


