あたしは絹糸の首根っこを引っ掴んでグィッと持ち上げ、その鼻先に向かって夢中で怒鳴った。
あるのかないのか、ハッキリして!
いまは藁にもすがりたいほど、溺死寸前な状況なんだから!
「順当に考えれば、あの場所の、あの橋の下の可能性が一番高いんじゃよ。じゃがそうなると、逆にのぅ……」
「場所ってどこ!? 橋ってなに!? もっとストレートに、簡潔に、かつダイレクトに説明して!」
「異界じゃよ」
「ごめん! ダイレクトすぎて意味わかんない!」
「門川の敷地内に、異界が存在しておるのじゃ。ここに来る途中で渡った、太鼓橋の下にな」
乱暴につまみ上げられてプランプランと体を揺らしながら、絹糸がそう言った。
あたしは、ちょうど自分の目の前にあるアーモンド形の金色の目を眺めながら、キョトンとしてしまう。
異界? この敷地内に? つーかあたしにとっては、ここがすでに異界みたいなもんなんだけど。
ここを基準にして、さらに異界って、どんだけハイレベルな異界なんだろう?
「その異界は、小浮気一族にとって所縁のある場所でもある。のぅ? 小浮気よ」
ポツンと集団から外れた所で、肩を落として背中を丸めているクレーターさんに、絹糸が話しかける。
魂をどっかに半分持っていかれちゃったような表情で、クレーターさんがコクリとうなづいた。
「そうだ。あの場所はその昔、我ら小浮気一族が暮らしていた場所なのだ」
暮らしていた? だってそこ、異界なんでしょ? 小浮気一族のご先祖様って、そんな物騒な所に住んでいたの?
あれ? それはともかく、ちょっと待てよ?
「ねぇ絹糸、太鼓橋の下って、たしか……」
「そうじゃ。お前も知っての通り、あの下は人知の及ばぬ世界。我ですら未知の場所なのじゃ」
あるのかないのか、ハッキリして!
いまは藁にもすがりたいほど、溺死寸前な状況なんだから!
「順当に考えれば、あの場所の、あの橋の下の可能性が一番高いんじゃよ。じゃがそうなると、逆にのぅ……」
「場所ってどこ!? 橋ってなに!? もっとストレートに、簡潔に、かつダイレクトに説明して!」
「異界じゃよ」
「ごめん! ダイレクトすぎて意味わかんない!」
「門川の敷地内に、異界が存在しておるのじゃ。ここに来る途中で渡った、太鼓橋の下にな」
乱暴につまみ上げられてプランプランと体を揺らしながら、絹糸がそう言った。
あたしは、ちょうど自分の目の前にあるアーモンド形の金色の目を眺めながら、キョトンとしてしまう。
異界? この敷地内に? つーかあたしにとっては、ここがすでに異界みたいなもんなんだけど。
ここを基準にして、さらに異界って、どんだけハイレベルな異界なんだろう?
「その異界は、小浮気一族にとって所縁のある場所でもある。のぅ? 小浮気よ」
ポツンと集団から外れた所で、肩を落として背中を丸めているクレーターさんに、絹糸が話しかける。
魂をどっかに半分持っていかれちゃったような表情で、クレーターさんがコクリとうなづいた。
「そうだ。あの場所はその昔、我ら小浮気一族が暮らしていた場所なのだ」
暮らしていた? だってそこ、異界なんでしょ? 小浮気一族のご先祖様って、そんな物騒な所に住んでいたの?
あれ? それはともかく、ちょっと待てよ?
「ねぇ絹糸、太鼓橋の下って、たしか……」
「そうじゃ。お前も知っての通り、あの下は人知の及ばぬ世界。我ですら未知の場所なのじゃ」


