「変なの。さっさと行くぞ」



水瀬くんは足をスタスタ進める。


まだ教えてもらっていないけど、目的地は決まっているみたい。



「あ、待って」



長い足の水瀬くんに後れを取らないように、ちょこちょことついて行く。


ハルくんにずっと片想いしていたあたしは、男の子とふたりきりで出かけたことなんてない。


軽い気持ちで誘ってみたのはいいけど、教室で隣合ってるのとはわけが違うってことに外へ出て初めて気づいた。


こんなことなら、やっぱりやめれば良かった。



……そういえば、水瀬くんて彼女いるのかな。


もし居るなら彼女にも迷惑が掛かるよね。



「水瀬くんて彼女いるの?」



気になったら聞かなきゃ気が済まなくて。



「んー?なんで?」


「だって彼女がいたら、あたしなんかとこんなとこに来るのよくないと思って」