いつからか"陽菜"って呼び捨てで呼ばれるようになって。


高学年になると、周りの子たちからは『つき合ってるの?』なんて冷やかされたりもした。



『陽菜ちゃんだけ特別扱いされてるよねー』

『名前で呼ばれてるの陽菜ちゃんだけだし!』

『うらやましいなあ』



中学生ならやっかまれそうなそれも、小学生の頃は純粋に羨ましがられるだけで済んだ。


ハルくんとは気の合う男友達。


……ずっとそう思っていたのに、周りにそう言われたら急に気になりだして。


意識するようになっちゃったんだ。



『陽菜、はいこれ。消しゴムありがとう』


『……っ、』



指先が触れただけで、体全体が熱くなって。



『ん?どうした?熱でもあるんじゃないの?』



おでこに手なんて乗せられたら、倒れるんじゃないかってくらいドキドキした。