それはきっと、君に恋をする奇跡。



「蒼ー、今日購買のパンが半額らしいぜー」


「え、マジ?ラッキー」



水瀬くんの周りに自然とクラスメイト達が集まってくるのはいつものこと。


静かに休めるどころかますますうるさくなる。


憎たらしいけど、彼には人を惹きつける力があるみたい。



「東京FCが勝った次の日は半額なんだってよ」


「なんだよそれ。俺レッズファンだし微妙だな」


「それ言わない方がいいぜ。言ったらきっと倍取られるぞ!」


「うわー、あるかもなー」



うるさいやり取りを真横に、あたしは机に突っ伏した。


喋りながらも、水瀬くんはずっと風をあたしに分けてくれていて。



……運ばれてくる優しい風に、少しだけ、汗が引いて行く感じがした。