それはきっと、君に恋をする奇跡。



あたしも玄関にしゃがみこみ、小さく震える蒼の体を抱きしめた。



「悲しいときは、思いっきり悲しんでいいんだよ」



背中を優しく撫でる。



「でもね……」



蒼に言うのは酷かもしれない。


けど、言わなきゃいけない。



「……ずっとこのままじゃダメ。そんなの……ハルくんだって望んでないっ」



ピクッ、と蒼の体が反応する。



「いつまでも立ち止まってたらダメだよ。もがいてもがいて……苦しみから這い上がるの……」


「……」


「……その先には、きっとハルくんが灯してくれた光があるはずだから……」


「……っ……」


「ハルくんは、きっと見ててくれてる」


「……うっ……」


「蒼が泣いてたら、ハルくん……きっと悲しむ……」


「ううっ……」


「ふたりで、いっぱいハルくんの思い出話そう?」


「……」


「蒼の知らないハルくんのことは、あたしが教えてあげる」


「……」


「あたしの知らないハルくんは、蒼が教えて……?」