それはきっと、君に恋をする奇跡。



想像することしかあたしは出来ないけど。

……壮絶な日々だったことだけは間違いない。



「蒼くんには、本当に感謝しているの。私達家族も、蒼くんにたくさん救われた……」



その裏で、誰にもわからないくらい学校でそれを出さなかった蒼の精神力の強さに、ただ涙が零れた。


あたしが蒼の異変に気付いたのは、ハルくんの二度目の肺転移の頃……。



「私達家族は遥輝の緩和ケアを決めてから、もう覚悟はしてた。遥輝がやっと苦しみから解放される……その安堵の方が、強かったかもしれない……」



屋上で倒れた蒼は、どれだけ限界に達してたんだろう……。



「でも、蒼くんは……」



だんだん涙声になる菜々さん。



「最後まであきらめてなかった。だからこそ、遥輝を失って、ぽっかり心に穴が開いちゃったのね……っ……。……15歳の男の子にどれだけの物を背負わせていたのかと思うと、ものすごく心が痛むっ……うっ……」



蒼にも会いに行って来たという菜々さんは、今の蒼の様子はとてもじゃないけど見ていられなかったと声を詰まらせた。