さては岡本のやつ、俺が部活を辞めたこと言ったな……?


……言うなっつったのにあのクソ顧問……っ!



「俺のために辞めたとかいうなら迷惑だから」



遥輝らしくない、冷たい声だった。

プイッと顔を背け、そのまま布団に潜り込んでしまう。


見えない背中に向かって声を落とす。



「……すぐ復帰するし」


「……すぐっていつだよ」



布団の中から、くぐもった声が聞こえる。



「お前の病気が治ったらだよ!」


「……」


「これは期間限定なんだよ!!!」



布団をガバッと剥ぐ。


遥輝にしたら、そんな勝手な想いはプレッシャーでしかないだろう。

必死に病気と闘っている遥輝に投げる言葉じゃないってのもわかってる。


けどっ……。

俺は信じてるから。


絶対に遥輝には完治して欲しいから。



だから、それまではいいだろ……?



「迷惑だって言っても、お前の側に居てやるからな!覚悟しとけ!」



……居させてくれよ。



「俺くらいなら、復帰してすぐレギュラーなんて獲れんだよっ!」



……側に……居てえんだよ。



「ふっ……」



遥輝が笑った。



「期間限定、な」


「……ああ、そうだ」



絶対に遥輝は復活する。


左耳のピアスに賭けて。