マジでムカツク……っ!!


苛立つ感情を止められなくて、本気でそいつを殴ってしまおうかと思ったとき。



「ねえ!そんなこと話してたんじゃないでしょ?武田くんの財布がなくなったって話だったよね」



それまで黙っていた遥輝が口を開いた。


……また優等生ヅラかよ。


ほっといてくれ。



「みんな。水槽の魚たちに餌をあげてるの、誰か知ってる?」



……ギクリとした。



「このクラスの水槽が全然汚れてないのは、どうしてか知ってる?」



おいっ!

恥ずかしいから言うなよ!



悪ぶってたって、生き物の世話は別だ。


自分がご飯をもらえなかったらどうだろう、部屋が汚れていたらどうだろう、生き物だって同じだからそれを考えて毎日きちんと世話をしなさい。


俺がハムスターを飼いたいと言ったときの、母さんの教えだった。


クラスの魚たちだって同じだ。


だから、俺は誰に頼まれたわけでもなく率先して世話をしていた。