それはきっと、君に恋をする奇跡。



***


「うーーーっ、寒っ」



シャツの上に羽織ったパーカーの袖を伸ばして手先を温める。


今年は夏が過ぎ去るのが早いみたい。

まだ9月下旬だというのに今日はものすごく風が強くて寒かった。



「こんな日に昇降口掃除だなんてついてないよー」


「ねー、ほんと寒い」



同じ掃除グループの子たちと一緒に、寒い寒いを連呼しながらてきぱきと作業して。



「よしっ、もう終わりでいいよね」



適当に切り上げて教室へ戻ろうとすると、



「新田さん!」



声を掛けられて顔を上げればそこには久保先輩。

爽やかな笑顔で手を挙げ、こっちへ近づいて来た。



「あっ、久保先輩。こんにちは!」



顔を合わせるのは蒼を保健室に連れて行ってもらって以来4日ぶり。