それはきっと、君に恋をする奇跡。



つき合えない理由は、きっとそういうこと。


笑顔の素敵な菜々さんは、実は病気を抱えていて。


夏に会ったときは退院していたけど、また具合が悪くて入院したのかもしれない。


蒼を追い詰めているのは、そんな現実からなのかも……。



「さあ……。その辺はよくは知らねえんだ、ごめんな。でも、当時も学校と病院とをかなり無理しながら行き来してたみたいだから、今でも続いてんのかってチラッと思ったんだ」


「……そう、ですか……」


「バスケで骨折なんて、蒼ならあり得ねえし。……心配だな」



不安そうな久保先輩の横顔に、あたしの不安も募るばかりだった。





久保先輩と真由ちゃんには先に戻ってもらった。


あたしはもう一度カーテンを開き、蒼の眠っているベッドに近寄る。