駆け引き?
……なにそれ。
水瀬くんはほんとにカッコいいからそう言っただけなのに。
おかしかった?
キョトンとするあたしを置いて、水瀬くんはまたソファに脱力する。
「つか、俺もう喉が死んだあー。これ以上歌わせたら金とるからな」
よく言うよ。
自分から進んでマイクを握ってたくせに。
「お金払ってでも水瀬くんの歌は聞いていたいって思うよ。お世辞じゃなくてホントに」
おかしくてクスッと笑いながら。
でも正直な気持ちを伝えると。
「お、おう、サンキューな」
カッコイイって言ったことより、こっちの方が最終的には照れていた。
「じゃあ、これで最後にするからな」
疲れたというのは嘘じゃないのか、最後と言って水瀬くんが選択したのは、今日初めてのバラードだった。



