「ひっさびさに歌いすぎたーーーーー」
歌い疲れた水瀬くんが、ソファになだれ込むように座りながらドリンクを口にする。
今まで水瀬くんの独壇場で、あたしは1曲も歌ってない。
歌えって言われたけどそもそも歌は苦手だから、拒否し続けていたんだ。
「水瀬くんはオーディションとか受けてみないの?」
「オーディション?」
「うん、レコード会社の。ほんとに歌上手だし、水瀬くんならきっと歌手になれるよ」
これだけ歌がうまかったら、あたしならチャレンジしてみるけどな。
なんならあたしが密かに応募しちゃおうかな、なんて思っていると。
「それはどうも」
そんなのしょっちゅう言われているのか、水瀬くんは調子に乗るでもなくサラッと流す。



