気を取り直して。
周りに女の子がいないのを確認して、小声で声を掛けると。
「ああこれ?」
「だから出さないで……!」
また簡単にスマホを出そうとするから慌てて止めた。
……もうほんと、心臓に悪すぎる。
「そんなもの貼ってこないでよ……」
「なんで?」
「なんで……って。いいからそんなの剥して捨てて捨てて!あ、家に帰ってからね!」
ここで捨てて誰かに拾われても困るし。
そう念を押すと。
「えー、陽菜は貼ってくれないの?せっかく撮ったのに」
「そんなもの貼るわけないでしょっ……」
「ひでぇなあ。そんなものそんなものって連呼して、俺とのプリクラって"そんなもの"扱い?」
水瀬くんは、スマホに貼られたプリを淋しそうな目で見つめる。