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土曜日深夜。

身を切るような寒さの中、私は瀬里の家を抜け出した。

今日は瀬里を無理矢理市内のアミューズメントパークに誘い、散々スポーツをした結果、疲れ果てた彼女は早々と眠ってしまった。

ごめん、瀬里。それから、ありがとう。友達になってくれて。

私はクッキリと浮かぶ月を見上げた。

今夜は……満月だったんだ。

凛とした静かなその輝きに微笑むと、私は数十メートル先で待たせておいたタクシーに乗り込んだ。


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当たり前だけどフランス料理店は閉店していて中は真っ暗だった。

古い洋館のようなその外観は、周りに繁る木々も手伝って、まるで童話に出てきそうな雰囲気だ。