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久々にバスタブにお湯を張った。

……簡単に涙を洗い流せる場所で……律に出逢った日から今までの出来事を、ゆっくり思い返したかったから。

私が、ファシネイティングブラッド…魅惑の血。

清雪と律の会話からすると、多分こういう事だ。

律達ヴァンパイアには、ファシネイティングブラッドが必要だということ。

以前その血を飲んだのが百年前で、その効力がそろそろきれてしまうということ。

次のファシネイティングブラッドは私で、もうすぐ私は彼らに血を飲まれてしまうということ。

私が血を飲まれたその後に、瀬里が殺されるかもしれないということ。

ここまで考えたとき、喉がキュッと絞まるような感覚がした。

それから……律の……律の私への気持ちが、嘘だったという事。

律は、ただ血が欲しかったから私に近づいただけ。

私の血にどんな効力があるのかは知らないけれど、このファシネイティングブラッドを飲むとヴァンパイアは向こう百年、その効能にあやかれるのだ。