恋文参考書





そうして着いたのは、少しだけ古びた外観の文具店。

駅の方面にあるのに、人通りの少ない細い道の並びにあるから、あまり存在は認知されていない。



今の世の中では珍しく、自動ドアじゃない。

しかも押すタイプですらなく、それなりに勢いがないと開けられない引き戸。

中はまぁまぁ新しいけど、お洒落というには程遠い。



飾られている時計やレジ横の小物に歴史を感じる。

そんな独特の空間だ。



とはいえ置いてあるものの幅は広く、五十音が印刷された懐かしい下敷きから、最新の便利文具までそろっていて。

レトロデザインからモダンデザインまで、なんでもある。

マスキングテープやシール、レターセットもたくさん置いてあって、あたしはよくここで買っている。



「こんなところに文具店があったんだな……」

「ここ、本当におすすめだよ」



きょろきょろと周りを興味深そうに見回す章の姿にあたしはにんまりと笑う。

そうでしょうそうでしょう、いいところでしょう。



あたしはこの店が大好きだから、もっとたくさんの人に知って欲しい。

いいものはみんなで共有したいもんね。

いつも静かで落ち着くここがうるさくなるのはさすがにいやだけど、そこまでじゃなければいい。

みんなも来ればいいのにって思っている。



文房具が好きな人なら楽しいところだよ。

あたしは紙とかペンとか、いくら見ていても飽きないタイプだから幸せなんだ。