そんなわたしをまた楽しそうに笑う彼は意地悪だ。



「可愛いね、今宵」


「もーやだってばー」


「やだ。見たい」


「やだ! わたしもやだ!」



嫌と言っているのに、それでも見ようとする彼に負けて、渋々互いの体の間に隙間を作る。


覗き込んできた彼は、嬉しそうにふふ、と笑った。



「真っ赤」


「う、るさいっ」


「かわいい」


「もーおーっ」



ああ、もう。


見ないでって言ってんのに、ばか。


背をかがめてわたしと目線を合わせてきた彼が、目を細めた。



「俺も、今宵のこと好き」


「うん」



これが、幸せなんだね。



これが、パズルさんが運んできてくれた幸せ。


これが、わたしの1年越しの恋愛。


これが、わたしの友人がたくさん助けてくれてできた繋がり。



この1週間は、わたしにとって貴重で大切な時間だった。


わたしが更生できて、成長できた、いい時間。


ねえ、真尋。


どこかでわたしを見ていてくれてるのかな。



1つだけ、真尋に言いたいの。




「ありがとう」




あたたかな風が柔らかく、頬をなぶった。