「…う、まぶしい……」



朝日が眩しくて、目が覚めた。



「……あれ」



頬に違和感を感じて触れてみれば、手に水がついて、止めどなく流れていることに気がついた。



わたし、どうしたんだっけ。


ここ、わたしの部屋、だよね…?


どうやって帰ってきたんだっけ。


ベッドまでどうやって来たんだっけ。


昨日の記憶が曖昧だ。


その代わりに今まで1年間なかった知識として「青木真尋」が頭の中に存在していた。


真尋の存在に気がつくと、目から湧き出る水の量が増えたような気がした。



「…ぁ、うぅ、くっ……」



口からこぼれ落ちる泣き声が、誰のものかわからなかった。



「今宵、これ使って」



スッと星が散らばったハンカチが目の前に伸びて来て、やっと自分が泣いていることに気がついた。



「っえ、茜?」


「おはよー」


「おは……待ってなんでここにいんの?」


「あ、不法進入じゃないよ? 今宵ママの許可得てるからね」


「そういうことじゃなくて!」



ゴシゴシとハンカチで涙を拭って、アホ発言をする茜を睨むと茜は眉を下げて笑った。