「おかえりなさいませ!ご主人様」
「おかえりなさいませ!」
りぃの父親、兼仁(かねひと)おじさんが帰宅すると、一斉に執事やメイド達が集まってくる。
基本忙しくて昼間は家にいない人なので、今日は珍しく早い帰宅だった。
「おかえりなさいませ、ご主人様」
自分もその列に並んでしっかりと頭をさげる。
兼仁おじさんは見た目は恐そうだが意外に茶目っ気たっぷりなので、「やぁやぁ、お疲れ」なんて手を振りながら、俺たちの前を通り過ぎて行った。
そして、そのすぐ後ろをついて歩くのが俺の親父だ。
親父の辰馬(たつま)は、かれこれ20年以上は、りぃの父親に仕えてる。
その姿は執事というよりはもう、兼仁おじさんの片腕であり、社長秘書だ。
親父の執事服姿なんてもう、俺は何年も見ていない。
いつも黒いスーツに身を包み、おじさんのそばにいる。
代々執事として身の回りの世話をしてきた篠崎家としては、異例の出世だ。
俺はそんな親父に憧れて、自分もあんな風になりたいと密かに思っていた。



