……やっぱり。
あの後ろ姿は、父方の従兄弟の紫苑だ。
紫苑は執事科の三年生で、同じく西園寺家に仕える身だが、俺は昔からあいつが少し気に食わない。
べつに悪い奴ではないし、仲が悪いわけでもないが、りぃがやたらとなついているので、あの二人が話してるのを見るたび、イラッとする。
ただのくだらねぇ嫉妬だけど。
「お前の親戚みんなイケメンだよなー。頭いいし。
その遺伝子分けてくれよ。
俺もお前くらい優秀だったらレミお嬢に怒られないのになー」
カイは隣でまた何かペラペラ喋ってたけど、俺の耳にはあまり聞こえていなかった。
紫苑と楽しそうに笑う、りぃの顔を見てたらすごく悔しい気持ちになって。
ガキっぽいよな、俺も。
だけどそのせいなのか、だんだんとマジで気分が悪くなってきて…。
しまいには頭痛がしてきた。
体もなんかだるい気がする。
なんだ急に…。
「…おい、どうした神楽。
なんか急に顔色悪くねぇか?」
カイが気付いて俺の顔を覗き込んでくる。
「…まさか、大丈夫だよ」
だけど俺はただテンションが下がっただけのことだと思って、気にせずそのまま教室へと戻った。
.
*
.



