りぃは子供の頃から全然変わらない。


天真爛漫で、単純で、わかりやすくて。


たまにワガママだけど、それでもあんまり憎めない性格をしてる。



物心ついた頃から、俺はりぃのそばにいた。


親父からりぃが危ないことをしないよう、見張るように言われてたし、何かあったら男のお前が守れって言われていた。


だから俺は、その頃から半分無意識にりぃを守らなきゃと義務のように思ってた。


自分が誰よりもりぃの近くにいて、彼女のことを分かってると思ってた。


でも、りぃは別に、俺のものじゃない。



あくまでも自分はこの篠崎家に生まれたが故に、執事として、ボディガードとして、彼女のそばにいるだけだ。


なのに、そう思うと時々、無性に寂しくなる。苦しくなる。



りぃはいつかきっと、俺から離れていく。


いや、俺は最初から、一番近くになんていられないし、いてはいけない存在なんだ。


…分かってるけど、どこかでそれを認めたくなかった。



本当は俺が一番、りぃの近くにいたかった。



ーーずっと、彼女のことが好きだった。