「ただいまーっ!」
「ただいま帰りました」
「おかえりなさいませ、お嬢様、神楽」
家に着いて門の扉を開けたら、執事の紫苑(しおん)が出迎えてくれた。
彼はかーくんの従兄弟で、一つ年上の高校三年生。
植物を愛する温厚イケメン男子で、かーくんと同じ青蘭の執事科に通っている。
「わあぁ、バラがきれいに咲いたわね!」
「そうなんです。今が見ごろですよ」
庭に綺麗に植えられたバラたちは、毎日彼が手入れしているもの。
まるでヨーロッパの庭園みたいなうちの庭は、半分彼が手がけてくれた。
そんな紫苑からお花の話を聞くのが私は何気に大好きだったりする。
「このバラはなんていうの?」
「これはウィリアム モリスといいます」
「へぇーっ、こっちは?」
「こちらはフレグラント アプリコットです」
「わあぁ、素敵な名前」



