【完】ふたりは幼なじみ。〜クールな執事の甘い溺愛〜


「あ、それじゃ次梨々香ちゃんがサーブ打つ番だよ」



サーブの順番が回ってきて、ボールを持ってコートの後ろまで行く。


正直悔しかったので、サーブくらいちゃんと打ちたかった。



頭痛に耐えながらも、ボールをトンと上にあげる。


だけど、いざ右手で打とうと思った瞬間…

スカッと見事に外してしまった。



……あ、ウソ…。



またしてもみんなの視線が一気にこちらに集まって、恥ずかしくなる。



何やってんだろう、ほんとうに。



だけど、その瞬間急に視界がぐらぐらと歪みはじめて…。



「…っ」



一気に真っ暗になった。



「きゃあぁっ!梨々香ちゃん!」



「梨々香っ!」



冷たい床の感触と共に、レミの声が遠くに聞こえる。



もうだめだ。もうだめ…。


何をやってもダメなんだ。


なんだかすべてが限界のように感じて、そのまま私の意識はそこで途絶えてしまった。