【完】ふたりは幼なじみ。〜クールな執事の甘い溺愛〜


「はい、今日の実習ではクッキーを作ります。

クッキーは簡単ですからね。基本のレシピを覚えて、ぜひお家でもチャレンジしてみてくださいね」



バラ柄のマダムっぽいエプロンをつけた家庭科の先生がニコニコしながら喋る。


今日は私の大嫌いな家庭科の調理実習の日。


うちの学校は特別科も執事科も、男女別に行う授業があって、女子が家庭科の調理実習をしている間、男子は武道館で武道の授業がある。


料理は大の苦手だから、むしろ武道の稽古に一緒に参加したいくらい。


先生はクッキーは簡単だなんて言うけれど、女子力のかけらもない私は今日も、一人だけ失敗するんじゃないかとか、いびつな形に出来上がるんじゃないかって、不安でたまらなかった。



「大丈夫だよ〜。みんな一斉にオーブンで焼くんだから、梨々香のだけ焦げるとかありえないから」



「だ、だよね…。でも生地と型ぬきは自分でやるんでしょ?」



「うん。でも生地は軽量ちゃんとすればいいし、型抜きなんか失敗しようがないじゃん」



なんてレミは言うけれど、それでもいつも一人だけ妖怪の食べ物みたいになってしまうのが私なのだ。



「雑にやらなければ大丈夫だから」