思わず目が泳いでしまう。



「あ…う、うん。火傷の手当てしてたの…」



「そうですか。まったく今日は災難でしたね。

でもご無事で良かったです」



「あはは、ありがとう」



必死で平静を装ってはみるけれど、内心心臓バクバクだ。


今起きたことが、頭から離れなくて…。



すると、かーくんは急にサッとその場から立ち上がる。



「……じゃあ俺、行くわ」



「えっ?」



そして、そのまま私と目も合わせずに、部屋から出て行ってしまった。



バタンとドアが閉まる。



「……」



あ、行っちゃった…。



「…あれまぁ、行ってしまわれましたね。

もしかして僕、お邪魔でしたか?」



「…へっ!?

そ、そんなことないよ!」



紫苑に聞かれて慌てて否定する。


だけど、胸のドキドキはおさまらなくて。



思わず両頬に手を当てる。



どうしよう……。なんか、なんか…。



一体今のは何だったんだろう。


かーくんは今、何をしようとしてたんだろう。



しばらくそのことが頭の中を埋め尽くして、それ以外何も考えられなくなってしまった。



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