「そう言えば、俺らって弘樹の何を知ってたんだろう」



ふと、いつもの友達2人に聞いてみた。



「んー。いいやつってとこ?」


「俺らと違ってイケメン風だし、モテるとこ?」


「いやいや、そういうんじゃなくて。てか、何で陰キャな俺らと仲良くしてたんだろ。どっちかというとあいつリア充側っぽいじゃん」



そうつぶやくと、


「ちょ、俺らを巻き込むなよ!」


と友達の1人がふざけた声で反論してきたが。



「あ……」と、もう1人が思い出したように言葉を発した。



「俺さー、去年も弘樹と同じクラスだったけど。あいつ割と詳しいと思うよ。オタク系なやつ」


「は? マジ? あいつSF系好きなのは知ってるけど。別に普通のやつじゃん」



聞くと、弘樹にオタク宣言したところ、彼は引きもせず普通に話に付き合ってくれたらしい。



「ハマってる作品教えると、初めて知ったよ、とか、今度見てみようかな、とか口では言ってたけど、何となく知っている風だったんだよね」


「そんなの別に普通じゃね?」



俺も見ないアニメはあるけど、今期放映中のやつはだいたい把握している。


って、俺基準で考えるのはおかしいか。



「ま、本当に何となくだし。弘樹もこっち側の人間っていう希望を持ちたかっただけかも」



まあ、弘樹に聞いたところで、きっとはぐらかされていただろうな。


もっと彼のことを知りたかった。愛美とのことも含めて。


後悔しても、遅いんだけど。