「イツキ……お前、死んだのか?」


夏斗がそう聞いてくる。


あたしは左右に首を振った。


結局あたしは自分の体を1度も見ていないのだ。


「わからない。ただ魂だけがみんなの中に入って行くの」


「そんなことがあるの?」


奏はまだ半信半疑のようだ。


誰だってこんなことすぐには信じられないだろう。


「あたしだって未だに信じられないよ? だけど本当だから、あたしはイツキ」


それからあたしはみんなの体に入って、みんながそれぞれ苦しんでいることを知った事を話した。


その苦しみを取り除けばイジメはなくなるんじゃないか。


そう思って行動を始めたことも説明する。


最初は半信半疑だったみんなも、自分しか知らないはずの事を語るあたしに、信用してくれていた。


「本当に、イツキなんだな?」


「うん」


夏斗の言葉に頷くと、夏斗は今にも泣きだしそうな顔になった。


「ごめんね夏斗。夏斗はあたしの事をすごく心配してくれていたのに、あたしはずっと気が付かなかった」


そう言うと、夏斗は強く首を振った。


「俺は何もしてない。イジメを止めさせることだってできなかったんだ!」


悔しそうに顔を歪めてそう言う夏斗。