カーテンを開けてすぐ、気分を高揚させた秋晴れの空は、登校しても色を変えることなく頭上に拡がっていた。


「咲、かわいいねえ」

「テンション上げようとしたらこうなった」


黒い生地のパーカーには蛍光色のピンクとグリーンの星柄が所狭しと散りばめられていて、相当目立つデザインだけれど、学園祭だからか、そこまで派手だとは感じなかった。


咲の特徴でもあるツインテールもボリュームたっぷりに巻かれていて、つい触りたくなる。


「メイクもかわいいね。フェスっぽい」

「フェイスジュエリーね。やってあげようか?」

「え! ……やっぱやめとく」

「小さいやつなら目立たないって」


えぇーと言いながら咲の手を止めないのは、私も少なからず浮かれている自覚があるからだ。


一般の入場開始まで1時間を切り、日程の確認と着替えを済ませた私たちのクラスは、教室でそれぞれが最後の打ち合わせをしている。


私と咲は裏方で、することと言えば呼び込みや受付とか、さくらくらいのもので、服装もクラスTシャツで事足りていた。


「わ、何それスゲーッ」


できたよ、と咲が言ったのとほぼ同時に、バスケ部専用Tシャツを着る柊くんがそばにやって来る。


「ちょっと、触んな! 付けたばっかなんだから!」


そばかすみたいに私の目の周りに貼られたフェイスジュエリーをつついてくる柊くんを咲は怒るけど、私はこの手に顔をうずめたくなる。気持ち悪いな私!