夢の終わりで、君に会いたい。

帰る準備が終わった私は、忍がプリントに何か書きこんでいるのを確認してから武藤のほうを見てみる。

冷静に考えれば、武藤が朝助けてくれなかったら階段から転落していただろう。

今頃、病院のベッドで寝ていたかも。

言われた言葉はムカつくけれど、ぼんやりしていたのも事実なんだし。

変な話だけど、夢と現実の二回も助けてもらったんだよね……。

ひとつ歳をとったこともあるし大人な対応ってやつをしなくちゃ。

『バカ』と呼ばれたことは忘れて、お礼を言おう。

そう自分に言い聞かせると彼の前へ。

だるそうに鞄を手に立ちあがった武藤に、

「あの」

と、声をかけると武藤はいぶかしげな目で私を見た。

今朝と同じように怒って見える顔と目。

なんでそんな顔しているのよ。

しぼみそうになる勇気に一生懸命空気を入れて膨らませると、私はにっこりと笑ってみせた。


「武藤くん、今朝助けてくれたよね?」


答えない武藤は口をへの字に結んでいる。

しゅーんと空気の抜ける音が聞こえた気がしたけれど、

「あぶないところを……あ、ありがとう」

なんとか言えた!