夢の終わりで、君に会いたい。

「え、どういうこと? 夢の中で夢の中だ、ってわかるの?」


少々、わかりづらい言葉も、すぐにその意味を理解する。


「いつもそうだよ。しばらく夢の世界にいると自然に『あ、これ夢だ』って気づくの。だから楽しいんだけどね。夢の中は、私以外が全部薄い色なの。水彩画よりももっと薄くて、明るいの。それに実際に死ぬわけじゃないし、痛みも感じないから」


物心ついた時から「これは夢」と、最初からわかっている夢ばかり見ていた。

だから、普通の人はそうじゃない、って知った時はとても驚いたっけ。


「夢、ってわかっててもあたしなら怖すぎてムリ」


まるで自分の身に起きているかのように首をプルプルと振る忍を見ていると、なんだか笑ってしまう。

そんなことないよ、夢のほうが何倍も楽しいんだから。

言いかけた口を閉じる。そんなこと言ったら、まるで今がつまらないみたいだし。


こうして、また言葉を飲みこむのもいつものこと。


「でもさ、鳴海は夢の話をしてる時が一番キラキラしてるよね」

ずしん、と痛いことを言ってくる。


「何それ」


笑ってみせても、忍の言葉が正しいのは知っているから。



毎晩のように見る夢だけが今の楽しみだったから。