聞こうか。

どうしようか。


手に汗握り、ぐるぐると想いをめぐらせながら悶々としていると。



プップッーーーーーー!


派手なクラクションが前から聞こえてきた。



はっと顔をあげると、車のライトがあたしたちを照らしていて。

こっちに突っ込んでくるように見えた。


……え……。


……痛い脚が、更に固まって棒のように動けなくなる。



「──危ねえっ!」



それは一瞬だった。


あたしの体は横に大きく振られて。

瞬間、柔らかいものに包まれていた。



「……っ!!」



まるで、"あの時"みたいに一瞬の出来事……。



「ぼうっとしてんなよ、死にてえのかバカ!」



毒を吐く、その柔らかいものは……黒崎くんの体。

車との接触を免れたあたしの体は、彼に抱き締められていた。