それは、ほんの一瞬、一瞬の隙の出来事だった。 瞬きもする間もないほどに。 いつの間にか触れて、いつの間にか離れた唇。 でも、確かに重なって。 「えっ……」 頭の中が真っ白になる。 「ちょっと、なにして……っ、」 目を見開いて抗議しようとしたあたしはハッと気付く。 ……グラウンドに居る、彼氏の存在に。