ドクン。 さっきと違う種類の鼓動があたしの胸をたたいた。 切なく、痛く。 ……そうだったんだ。 ひりひりと痛みを覚えたあたしの胸を、じわじわと席捲していく不確かな想い。 ドクンドクン……。 沢山の友達がいて、いつも笑顔が絶えない律くんと真逆の黒崎くんは。 冷たい態度や言葉の裏でなにかを抱えているのかもしれない。 胸の奥が深く沈むような感覚を覚える。 ひどい人……今でもそう思っているはずなのに、胸の中のモヤがいっそう濃くなった気がした。