オレは美優が住む木造の古いアパートに向かって、全力で走った。




オレは泣いている美優の声を聞いて、少しでも早く、美優に会いたかった。




美優の住むアパートは、お世辞にも立派だとは言えない。




この古くて、くたびれたアパートに住んでいることだけで、
美優が恵まれない家の子供だってことがすぐわかる。




美優はドブ川の前で、オレに言っていた。




高校を卒業して、働くようになったら、このアパートを出て、もっと素敵な場所に住みたい。

高校を卒業したら、昼でも夜でも、たくさん仕事をしたいって。




オレはそんなことを言った美優が、生まれながらに、ちゃんとした家に住んでる普通のヤツより、
立派だって思ってた。




オレは、美優のそんな夢を叶えてやりたい。




オレのすべてをかけて、絶対に!




オレが美優のアパートのドアを開けて、中に入ると、美優は六畳間の狭い部屋の中で泣いていた。




オレはそれを見て、胸が苦しくなって、美優の元に走っていた。