〈 大和田のヤツ、鼻水垂らして泣いてやがるくせに、どうしてこんなに耐えるんだ?

大和田にとっての遥香って、いったいどんな存在なんだ? 〉




藤城が言うように、人間は自分がかわいい生き物だ。




自分の存在に比べれば、他人の存在なんて、本当にちっぽけな価値しかない。




恋人を裏切って、二度と会わないと決めたなら、大和田は今の苦しみから解放されるのに……。




大和田の悲鳴が、監視部屋の中に、再び響いたとき、
大和田への拷問の時間がついに終わった。




オレはその事実にゾッとしていた。




オレには、また新たな拷問が待っているから。