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「明日花!?」


フラフラと廊下を歩いていると、伶香と郁美がやってきた。


2人とも、あのリビングから逃げて来たのだろう。


「あの部屋にまだトシがいるから……あのままにしてはおけないでしょう?」


「どうするつもり?」


「片づけ……ないと……」


どんな理由であんな事になってしまったのかわからないけれど、あのままじゃトシが可愛そうだった。


最後に何かを伝えようとしていたトシの姿を思い出して、胸が痛む。


すでに形が消えてしまっていたのに、なけなしの力を振り絞ったんだ。


トシが何を言いたかったのかはわからないままだけれど、あれはきっとあたしたちへのメッセージ。


もしかしたら、ここから出るための方法が何かわかったのかもしれない。


あの部屋に入るのには勇気がいるけれど、誰かがトシを片付けてあげなきゃいけない事には変わりない。


「明日花!」


そんな声が聞こえて振り返ると、そこには健が立っていた。


弘明に殴られた痕が赤くなっている。


「部屋に入るつもりか」


そう聞かれて、あたしは頷いた。


「俺が行く」


あたしを押しのけるようにして先に歩き始める健。